No Way Out ~出口なし~   偏愛に満ちた小説と映画の備忘録です
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ファンタジーの国の殺人
2011-01-28 Fri 18:51
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
(2010/11/27)
米澤 穂信
-+A+-
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米澤さんの新境地は、なんと騎士や魔術師がいる中世でのミステリです。
びっくりしましたよ、まさかファンタジー畑に行くとは!!というのは大きな勘違いで、通常と異なる世界の縛りがあるミステリ(謎解き)でした。
英国領・ソロン島に東方から騎士が訪れます。彼はある暗殺者を追っていて、領主の命が狙われていると警告に来たのですが、案の定、翌日に領主様は無残な姿で発見されます。で、アミーナお嬢様と騎士と従者の3人で、犯人を捜すのです。
ものすごくまっとうな推理モノで、人を操る魔法とか、青銅巨人とか出てきますけど、そうゆう決まりごとを作ったなかで、容疑者の話を聞いただけで犯人を特定するというまっとうさです。地味な犯人探しが、ファンタジーの粉をかけられて、ちょっと華やかな仕上がりになっています。
有栖川有栖の”読者への挑戦”みたいに、推理の材料をすべて並べて、さあ誰が犯人だ?というサービスっぷりです。もちろんわかんなかったですよ。
まだまだ解明されていない謎があるので、もしかすると続編があるのでしょうか?そうなると、領主のおにいちゃんに比べて、度胸があって聡明なアミーナのその後が心配です。この時代、女が賢くてもろくなことがないからなぁ。

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距離は縮むか?!
2010-10-01 Fri 18:00
ふたりの距離の概算ふたりの距離の概算
(2010/06/26)
米澤 穂信
-+B+-
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2年生になったホータローたち古典部のシリーズです。
入部するつもりだった新入生が、いきなり入部しないと言いだしました。原因は千反田?
マラソン大会を走りながら、その間にホータローは翻意の理由を突き止めることができるでしょうか?
そちらがメインで、小さい謎(喫茶店の名前あてやら、お菓子研究会はなぜ狭いテーブルにカボチャを置くのか等)も、ときながら、メインの謎に迫ります。
そうだった、米澤さんの場合ホロ苦い青春小説なんだった。と、思い出させる謎解きです。
それもよかったんですが、ホータローと千反田、里志と摩耶花の二人が次の段階に移ったことのほうが驚きでした。それでもやきもきする4人ではあるんですけど。
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すみません、おなかいっぱい
2010-07-20 Tue 19:00
蝦蟇倉市事件2 (ミステリ・フロンティア)蝦蟇倉市事件2 (ミステリ・フロンティア)
(2010/02/24)
秋月 涼介北山 猛邦
-+D+-
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不可能犯罪が起こる街、蝦蟇倉市のアンソロジーも2冊目です
今回も米澤穂信目当てで読みました。これが最後にあるものですから、それまでが苦痛でした。そりゃないでしょう、ってなオチや動機ばかりで。<ネタバレ>語り手が実は犯人っていうオチが多く、どんでん返しっていうとこれくらいしか思いつかないのかよと、ガッカリしました。
他の作家さんのキャラを自作で共演させたりして、遊び心もあるのですが、作品自体があれじゃなぁ…。犯罪を呼び寄せる街というしばりが強すぎるとも思えませんが、舞台の名前を借りただけってのもつまらないですしねぇ。
企画倒れで残念です。
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暗くて深いもうひとつの貌
2009-10-15 Thu 18:11
追想五断章追想五断章
(2009/08)
米澤 穂信
-+A+-
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米澤作品には2つの味があり、小市民や古典部シリーズのようなちょっと面倒くさい青春小説と、『ボトルネック』のようなかなりボディにごふっっとくるようなヘビィな話があります。
今回は後者で、この静かな暗さが大変よかったです。
家庭の事情で大学を休学せざるをえなかった芳光は、叔父の古本屋に居候しながら、復学するチャンスをうかがっています。そこへやって来た亡くなった父親の小説を探したいという可南子の依頼を引き受けます。そして、その周辺を調べるうちに妻殺害の疑惑が彼にかけられたことを知ります。
叶黒白名義のリドルストーリー5編と、週刊誌の記者が書いた記事『アントワープの銃声』、これがまぁ、うまいこと。なんだってこんなベタ記事をキッチリ読ませるんだろうと思ったら、そこが重要だったんです。断章が5つある理由も。う~ん、唸りましたね。
小説をめぐる謎解きもよかったんですが、芳光の暗さがまた光りました。自分には『語るべき物語がない』と言い切る若者の、自分と未来を悲観したその様が、米澤作品だなぁと思うのでした。



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帰ってきた狐と狼
2009-06-16 Tue 17:17




秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫) 秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6) 秋期限定栗きんとん事件 (創元推理文庫)
(2009/02)
米澤 穂信
-+A+-
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久しぶりの”小市民シリーズ”です。前作で袂を分かった二人がそれからどうなったのか、もう待ちに待った新作ですよ。あれから1年以上ですから、長かったです。

驚いたことに二人とも彼氏・彼女がいます。小山内さんはおいておくとして、小鳩くんたら別人です。”小さな誤解からやきもちやいて口喧嘩”ってあんた、本人も僕にそんな日が来るなんてと言ってますが、そりゃこっちのセリフだよ!どうしちゃったの小鳩くん!あんたホントにあの小鳩常吾朗か?!
小山内さんの彼はひとつ年下の新聞部員・瓜野くん。スクープをモノにして名をあげようという結構な野心家です。彼のターゲットはこのところ市内に跋扈している、連続放火犯人です。
彼女の前でもついつい小賢しい推理を働かせてしまう小鳩君、はっきり書かれないけれど暗躍しているであろう小山内さん、大勘違い野郎の瓜野くんの空回り。フツーの高校生の日常ではないけれど、連続放火といってもボヤ程度ですから、それで上下巻もつのかなと思いましたが、もちました。というか、一気呵成に読んでしまいました。面白かったです。
やはり小鳩くんは狐で小山内さんは狼でした。特に小山内さんの復讐は天晴れと言うか、お見事と言うか、いっそ清々しくもありました。絶対に敵にまわしたくないなぁ。復讐の理由がアレじゃかわいそうな気も…。いやいや、女の子ってのは繊細なのよと、一応肩をもってみます。
次が最終巻になるのでしょうか?卒業まで6ヶ月。次が楽しみです。
しかし、辻真先の解説はイマイチでした。
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一行ではなく、ラスト3頁
2009-02-16 Mon 17:50
儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
(2008/11)
米澤 穂信
-+B+-
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上流家庭の使用人(またはお嬢様)たちが主役の、ブラックな連作集です。

あらゆる予想は、最後の最後に覆される――
ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。

とありましたが、それはあんまりでしょう?せいぜいラスト3ページくらいかと。というより、そんな最後の一撃(フィニッシングストローク)を期待するのではなく、物語全体のオチとしいうかサゲというか、締めの一文くらいの心がまえで読んだほうがいいと思います。私はラストに大どんでんがあるかと期待して読んだクチなんで、肩透かしくっちゃいました。
各話完成度にバラつきがあって、『身内に不幸がありまして』はラストが落語かと思いましたよ。”まんじゅうこわい”みたいな。
ところどころに出てくる”バベルの会”の消滅と復活を描いた最終話『儚い羊たちの晩餐』は、なんだか狐につままれたような読後でした。そもそも”アミルスタン羊”を知らなかった私ですから、効果も半減といったところでしょう。あぁ、もったいない。でもこれが一番よかったです。再読したのはこれだけ。初回とはまた違った趣で読めました。
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いろいろあった一年でしたね
2007-11-27 Tue 21:47
遠まわりする雛 遠まわりする雛
米澤 穂信 (2007/10)
角川書店
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古典部シリーズ最新刊です。
ホータローたちが入学してから2年生になるまでの1年間を、さまざまなできごとで綴った連作短編集です。
時系列順に雑誌に発表していないのに、うまい具合に伏線が決まるなぁと思ったら、野性時代に続けて発表してたんですね。
夏合宿に温泉に行ったり、初詣で納屋に閉じ込められたり、バレンタインに摩耶香の手作りチョコが盗まれたりと、年中行事で彩られています。
そして最後が書き下ろしの表題作。生き雛として千反田がお雛様になり、助っ人で呼ばれたホータローが傘持ちをやるという1篇でした。驚いたことに<ネタバレ>2人ともお互いのことを意識してるんですね~。ちょっと意外でした。里志と摩耶香の2人も、思ったより複雑な事情を抱えているのがわかり、驚きました。しかし今時珍しい、面倒臭い高校生たちですね
謎についてはあまり凝ったものもなく、短編賞の候補になったという『心あたりのある者は』ですら、それほど感銘を受けませんでした。そのへんはちょっと物足りないんですけど、好きな人にはたまらない短編集だと思います。
どちらかというと、2年生になってからの4人の関係が楽しみです。
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ドライな『そして誰もいなくなった』
2007-10-27 Sat 23:48
インシテミル インシテミル
米澤 穂信 (2007/08)
文藝春秋
-+B+-
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”時給1120百円”に釣られて集まった見知らぬ男女12名。外界と隔絶した空間で7日間を過ごし、その間の行動は全てモニタリングされるという、なんとも胡散臭いアルバイトです。
建物に入ると12体のインディアン人形がテーブルの上に置かれています。まさしく『そして誰もいなくなった』です。各々の部屋には武器と、人を殺せばボーナスが支給されるなどといったことが書いてある”ルールブック”があり、カードキーの裏には”十戒”が書かれてます。そして一夜目が明けた時、一人目の死体が発見されるのでした。

米澤さんには珍しく、人がさくさく死ぬお話でした。
まっとうなフー・ダニットだと思います。私なんかは早々にリタイアするタイプなんですが、犯人あてが好きな読者は楽しめたんではないでしょうか?古今東西のミステリが引用されていたり、ファンには嬉しいでしょうね。私は『犬神家の一族』しかわかりませんでした。それも映画版のみでして、原作は読んでません。小説中でもその点を指摘されました。
主人公の結城は、おきらくごくらくな貧乏学生かと思いきや、気骨もあり頭もよく、そして結構ヤなヤツでした。そうなんです、この登場人物たちがみんな結構ヤなヤツなんです。どうにも好きになれず別に全滅してもかまわないなと思いながら読んでいました。キャラクターに感情移入はできませんでしたが、一気読みです。私クローズド・サークルものが好きなんですよ。
須和名や関水がどうしてお金が必要だったのか、このモニタリングを行った”機構”とは?いったい何が目的だったのか?などといった普通気になる点はまるで説明がありませんでした。ま、いっか。それがテーマじゃないんだし。
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ゆるくハズしてドキリ
2006-12-02 Sat 23:04
犬はどこだ 犬はどこだ
米澤 穂信 (2005/07/21)
東京創元社

-+A+-

アトピー性皮膚炎が原因で仕事を辞めざるを得なかった紺屋は、田舎に引っ込み『犬の探偵さん』を開業します。しかし最初の仕事は人探しで、2つ目の依頼は古文書解読と、当初見込みとかなりズレがあります。この『失踪さん』を探すのが紺屋、押しかけの探偵助手・ハンペーが古文書担当になり別々に捜査を開始します。だから関係者がかぶっていることにお互い気がつきません。読者は最初からわかってますから、この一見なんの関係もない依頼が、なんらかでつながっていることに気づいてます。しかしまぁ、終盤あんな変化球でくるとは!
<ネタバレ>失踪さんはストーキングに怯えて逃げているのではなく、実はストーカーを排除しようと周到な罠を張っていたのでした。その綿密さと執念といったらもう!すごい、すごいよ、『失踪さん』。ちょっと『小市民シリーズ』の小山内さんに通じるものがありますね
ラストに、張りまくられた伏線がビシバシ決まるのが痛快でした。のんびり構えて読んでいたので、陰陽が反転した時にあわあわしてしまいました(私だけか?)。
やる気のない紺屋、ボギーに憧れる(でも結構有能な)ハンペー、ネットの住人GENなど、このメンツだけでシリーズ化できそうなんですけど、どうでしょうか?
米澤作品では一番のオススメでした
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取扱い注意な青春小説
2006-11-07 Tue 23:05
ボトルネック ボトルネック
米澤 穂信 (2006/08/30)
新潮社

+-B-+

米澤さんの『古典部』でも『小市民』でもない小説は初めてです。こちらも高校生が主人公。しかし結構悲惨な家庭環境です。
主人公の嵯峨野リョウ、両親の仲は最悪でお互い別々に愛人がいることを小さい頃から見せつけられています。そして子供には無関心。これも一種の虐待ですよね。そんな彼にも好きな女の子がいたんですが、2年前に事故で亡くなってしまいます。やっと心の整理をつけて、事故現場の東尋坊へ花を手向けに来ます。そこでめまいをおこし、崖下へ。目が醒めると金沢市内でした。更に、家に帰ると見ず知らずの『姉』がいる。これは一体?
いわゆるパラレルワールドものです。嵯峨野家に子供は二人。姉の替わりに自分が生まれた世界から、姉が生まれて自分が生まれなかった世界へ突然スライドしてしまうのです。

あらすじだけ読めばなんだか青春小説みたいですが、とんでもない。
もうひとつの世界は少しずつ違いがあって、両親の仲は修復している、寝たきりになったラーメン屋の主人は回復している、そして死んだはずのノゾミも生きています。
最初は『間違いさがし』なんて言ってましたが、話が進むにつれてその言葉自体が残酷だとわかります。サキの生まれた世界の方が、リョウがいる世界よりよくなっている、すなわち『間違い』は自分だと。
私、ラストの方でリョウがそう告白するまで全然気がつかなかったんですよ。私も想像力が欠如してます。ミステリのつもりで読んでたんですが、これって青春残酷物語だったんですね。もといた世界に戻ってサキのように振舞って、周囲を変えていこうという前向きなエンディングかと思ってました。『ボトルネック』というタイトルもその意味がわかると哀しすぎます
<ネタバレ>これから起きる不幸な出来事を『サキだったらこうはならなかった』と一生考えながら生きるというのは、確かに辛い。ラストでいこかもどろか考えている時に届いた母親からのメールを読んで、リョウはどちらの決心をしたのでしょう。大方はいってしまったと読むでしょうけど、私はもどったというエンディングも有りだと思ってます。というか私の希望なんですけど。これはきっと読む側の体力にもよるのでしょう
心が風邪ひいている状態で見たら、きっとダメージ大だと思います。
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